ドイツサッカー留学で一番の後悔は、実力不足ではありません。
「練習参加で本来の力を出せずに終わること」です。
練習参加は、1回の価値が大きい。
だからこそ、ちょっとした準備不足や立ち回りの差で、評価が簡単に上下します。
また、チームにとってレベルが達していなかったり邪魔になるようであれば、1日で断られます。
多くの選手が勘違いしがちなのが
「技術さえあれば大丈夫」という発想。
現地で評価されるのは、技術だけでなく"信頼"です。
実際、練習参加でつまずく原因は、派手なミスではなく
・挨拶/リアクション
・強度や切り替え
・そしてコミュニケーションが取れない
と言った"地味だけど核心的なこと"である場合が多いです。
この記事では、ドイツの練習参加で留学生が陥りがちな失敗を10個に整理し、その場でできる対策までセットでまとめます。
「落ちる理由」を先に潰して、練習参加を"成長とチャンス"に変えましょう。
実力以前に"準備と振る舞い"で落ちる
ドイツの練習参加は、単純にプレーの上手さや技術のテストではありません。
もちろん、基礎的な技術は見られますが、それ以前に「この選手はチームに馴染めるのか」「信頼できるか」もチェックされます。
私たちは現地人でもなければ、言語がネイティブではないためコミュニケーション部分をよく見られます。
実力差がかなりあればある程度、この部分は補填できますが、実力差が拮抗している場合や少し上くらいでは、獲得までいかないケースが大いにあります。
評価が落ちるケースは以下に当たります。
・準備不足で本来の力が出ない（睡眠、食事、移動、コンディション調整など）
↪︎明らかにコンディションが良くなさそうな選手は見たらすぐわかります。慣れない環境下で素早い環境の順応が必須です。コンディションのブレが起きやすいので、時差ボケや食事睡眠のサイクルをしっかり整えましょう。
・振る舞いで「扱いづらい」「頼りない」と見られる（挨拶、リアクション、切り替え、声掛け）
↪︎多くの日本人は他国の人種と比べ、リアクションがかなり薄いです。
外国の方は日本人特有の空気を汲み取るという文化や能力がありません。
言わないと伝わらないですし、オーバーなくらいリアクションを取ることで相手にわかりやすく伝える必要があります。
もちろん頼りなさそうに見えて、練習では力強いプレーでプラスの印象を与えられるのであればいいですが
わざわざ誰でもできる挨拶などの初対面で自信がなく見られて評価を落とすのは勿体無い。
声が小さく相手の目も見れないのは基本的に論外です。
・コミュニケーションが取れず、連携ができない（要求できない、指示がわからない、返事しない）
↪︎私たちはある程度学生時代に英語を学んでいますが、日常的に使わないので
現地で話すことに自信がなくコミュニケーションを取らない選手が多いです。
片言でも話しかける行動とパッションさえあれば
相手は理解してくれようとしますし、しっかり説明してくれます。
この部分ができないと正直海外で戦っていく上では厳しいです。
海外では、技術がプレー自体が多少良くても「信頼できない選手」「扱いづらい選手」は敬遠されます。
逆に言えば、ここを押さえるだけで評価は上がります。
この記事の１０選は、才能やセンスではなく、今すぐ改善できる準備と振る舞いに絞っています。
まずは「評価が下がるポイント」を潰して、練習参加をチャンスに変えていきましょう。
よくある失敗10戦
事前に選手へはレクチャーはするのですが、実際に練習参加に行くと緊張やシャイな性格が表に出て9割近くの選手はできません。
コーディネーターも最初の繋ぎの部分は帯同しますが、その後は外から練習を見ています。
練習参加中は１人の参加なので、自分で素早く修正し、実行する能力が必要です。
１. 挨拶・自己紹介ができない（最初の信用を落とす）
２. コミュニケーションを取らない
３. 指示待ち/声を出さない（消極的に見える）
やるべき対策
↪︎ 挨拶や自己紹介は仲間意識を味方に与えるためにも笑顔でハキハキとするべきです。
練習中ドイツ語で行いますが、内容がわからない場合があります。その際にチームメイトにどんな練習内容か聞いて確認する必要があります。ここでコミュニケーションを積極的に取らず、ミスや練習内容を理解していない場合大きな評価ダウンに繋がります。
ボールが欲しい時や、味方に動いて欲しい時など指示する必要がありますが、多くの選手は"ヘイ！"とボールを要求することすらできません。
指示ができない、声を出さない選手は消極的に見えます。
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４. 強度不足（球際・切り替えが遅い）
５. 守備の優先順位が違う（時間を稼ぐのか、チャレンジするのかの判断）
６. プレーが"安全すぎる"/"自己中すぎる"の両極端
７. ミス後の態度（謝らない、切り替えない）
やるべき対策
↪︎ 監督と会話する中でよく出てくるのは守備面です。
当たりが弱いのと、足先だけのディフェンス、切り替えが遅いのがよく挙げられます。
守備も日本では時間を稼ぐ（相手に間を与えて時間をロスさせる）のが主流ですが、ドイツでは奪うディフェンスが求められます。もちろん一発で抜かれる場合もありますが、チャレンジして抜かれてファールで止める方が評価は高いです。
練習参加では何ができるのか、他の選手との違いを見られます。セレクションなので周りのレベル差を感じさせないと獲得まではいきません。
来たボールをダイレクトで返す、簡単に安牌な選手（バックパスも含む）に当てるだけ。
このような選手はいくらでもいます。チームにとって有益だと思わせるプレーが大事になります。
安牌なプレーはダメならガンガンドリブルすればいいんじゃないの？と思いますが、もちろん安牌なプレーをするくらいならガンガン積極的にドリブルしたほうが印象に残ります。
ただ効果的なプレーと自己中心的なプレーは違います。
そこの絶妙なラインでプレーできる選手が上に這い上がれる可能性のある選手です。
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８. 体の準備不足（睡眠、食事、ウォーミングアップ不足）
９. 試合/練習のルールが理解できない（言語能力不足と確認不足）
１０. その場で素早く改善しない（同じミスを繰り返す）
やるべき対策
↪︎ドイツに来て、今までの環境と全てが異なります。時差ボケでの睡眠不足や言葉が読めない・言葉を理解できないストレスが微量ながら蓄積されていきます。
次に何をしていいのかわからず、ウォーミングアップや事前準備がしっかりできておらず、怪我につながったり、自分の力を発揮することができないことがあります。
日本にいる間に、多少は英語またはドイツ語でサッカー用語というのを学んでおくべきです。
練習参加で緊張でミスはよく起きます。そのミスを引きずるのではなく、すぐその場は切り替え、同じミスを繰り返さないことが何よりも大切です。ミスを引きずらない方法はその場ではもう開き直るしかないです。後悔は後で振り返ればいいので、今何が自分にできるのかにすぐ考えをフォーカスすると体が自然と動きます。
成果を上げる"練習参加の勝ち方"
練習参加で成果を上げるために、何を心得ておくべきか。
一番大切なことは自分の武器を「出し切る」ことです。
海外では、チャンスは一瞬です。確約はありません。
契約を前提とした練習参加は、目安として大体１週間程度で判断されることが多く、
ハマれば1日で決まることもあれば、逆に1日で「違う」という判断をされることもあります。
だからこそ毎回を「一発勝負」くらいの気持ちで大切にすべきです。
① 集合〜練習前：第一印象で"興味"を取る
・集合時間より少し早めに到着する
早めに到着することで、真面目な印象を与えられます。（そもそもドイツ人は来るのが遅いため）
監督やチームメイトには、挨拶と自己紹介をハキハキと。
↪︎ここで重要なのは、うまい言葉より笑顔と熱量、力強い握手です。
② 練習前のウォーミングアップの輪に必ず入る(鳥かごには絶対に参加する)
↪︎練習前の"輪"に入れるかどうかで、その日のあなたへの対応が少し変わります。
優しいチームであれば声をかけてくれますが、ほとんどの場合練習生は「基本いないもの」だとして扱われがち。
だからこそ、自分の一言から。
※事前に留学生へ伝えていても、声をかけられずに一人でストレッチやリフティングしている選手がほとんどです。
ここは絶対に避けたい。
③ 練習中：評価されるのは"うまさ"だけではない
・わからないことがあればずぐに聞く
↪︎分からないままズレ続けるのは徐々に信頼を失います。間違ってもいいので聞くという姿勢が大切です。
・仲間への指示や声を出す（ボールの要求も含み）
↪︎海外では、流暢さより「意思表示」が評価されます。
ボールの要求も含めてまずは声を出しましょう。
・守備と切り替えで手を抜かない
↪︎ドイツは特にここが一番の評価ポイント
「闘う」「走り切る」姿勢は、プレーの質以上に見られます。
・監督や選手の要求に、すぐ対応し、修正をする
↪︎評価が上がるのは"ミスをしない選手"ではなく、すぐ修正できる選手です。
・ミスを恐れず、積極的にチャレンジする
↪︎安全なプレーはだけだと武器にはならない。（成長しない）
ミスを恐れずチャレンジしてこそ一番成長します。
リスクを犯すべきタイミングで攻めないと逃げの評価となります。
④ 練習後：最後の"一言"で次が決まる
練習後にチームメイトへ「ダンケ」とありがとうと一言かけるだけで、印象は断然変わります。
チームに溶け込める選手は、次の練習参加での立ち位置も変わりやすいです。
練習参加も数を重ねていけば自分の中でパターンが見つかり、評価ポイントも見えてきます。
だからこそ最初はシンプルに1回1回やり切ること（自分の武器を出す）を目標に取り組ましょう。
まとめ
練習参加ではチームそれぞれの文化や求めるものがあり、「これが絶対の正解」というものがありません。
ただ、最初の入り方（第一印象の作り方）はどのチームでも共通して大切です。
初対面の印象は想像以上に残ります。
この記事では、私自身の経験や現場で見てきた中で、「これだけはやっておいた方が良かった」というポイントをまとめました。１つひとつ意識するだけで、練習参加の成功率は確実に上がります。
緊張して普段通りにプレーできない、味方との連動がうまく噛み合わず自分の武器を出せない。
こういうことは必ず起きます。最初から完璧にハマる選手の方が少ないです。
でも経験を重ねれば、自分のルーティンができて、徐々に慣れていきます。
とはいえ、渡航直後の1年目は、環境にも慣れていない中で"結果"を求められがちです。
だからこそ考えすぎず、「強度」「切り替え」「コミュニケーション」の基本を落とさずに、まずは自分の持ち味を出すことに集中するのがベターです。
実際に、すでに渡航している選手からもよく相談を受けます。
その中で差が出るのは、現状と現在地を客観視して、修正できる選手かどうか。
試合に出られない、チームが決まらないのには理由があります。
そこを見ないまま不満だけが増えると、前に進めなくなります。
ドイツは生き残りがシビアです。
でも同時に、チャンスと可能性があるのも事実。
この記事の内容を"予防策"として使って、練習参加をただの経験で終わらせず、次のステップに繋げてください。
